[Interview Vol.3] 株式会社リヴァンプ 取締役 千田勇一様

「経営の最前線で、生きていく」
──リヴァンプ千田取締役が語る、“戦略の先”のキャリアのリアル

Overview:株式会社リヴァンプが担うのは、単なる戦略コンサルティングでも、PEファンドでもない。“経営そのもの”を引き受けるプロフェッショナル集団だ。その最前線に立つのが、取締役・千田勇一氏。外資系投資銀行を経て創業期のリヴァンプに参画し、PEファンドとの協働や事業再生案件を数多くリードしてきた。
今回のインタビューでは、千田氏のキャリア、リヴァンプの役割、そして「経営を仕事にする」とはどういうことなのかを深掘りした。           (この記事の内容は2025年5月時点のものです)

  

■金融エリートから「経営」に目覚めたきっかけ

学生時代、複数の外資系戦略コンサルティングファームなどから内定を得たものの、千田氏が最終的に新卒で選んだのはゴールドマン・サックス。「他社の懇親会で、“投資銀行がいま一番熱い”という話を聞いて、そこから投資銀行志望に切り替えました。ゴールドマンは、面接も説明もすごくラフで、でも逆にそれがかっこよかった。『自分はコンサルじゃないな』と直感したんです。」

配属された投資銀行部門では、M&Aや資金調達を縦横無尽に手がけた。リーマンショック直前の金融業界を駆け抜け、修羅場を経験。「めちゃくちゃ忙しかったけど、面白かった」と語る千田氏は、ゴールドマンの現場で金融スキルを徹底的に叩き込んだ。

だが、リーマンショックを機に、環境は一変。急な社内外の変化を目の当たりにして、もともと興味のあった経営の仕事への転職を考え始めた。

「金融は社会に必要不可欠な機能。でも、経営を変える力とは違う」──そう語る千田氏が次に選んだのは、当時まだ創業間もないリヴァンプだった。 「ゴールドマンにいた時にUSJの再生案件に携わって、金融ロジックに加えて、現場を動かし、人を巻き込み、組織を再生する──そんな“経営の力”があることに魅せられたんです。」

  

  

■ 戦略の比重は“経営”の1割にすぎない

戦略ファームとリヴァンプはまったくの別物だという。

「戦略は経営の1割にすぎません。残りの9割は、オペレーション、IT、組織づくり、日々の意思決定、急な危機対応、など多岐にわたります。私たちの仕事は、そこに飛び込んで結果を出すこと。現場に寝泊まりしながら代表者と話し合うこともある。」

「かつて地方のとある企業の経営支援では、経営者一家の確執や従業員との信頼関係の崩壊といった、人間関係の根深い問題に真正面から向き合う必要があった。経営者夫婦の怒号が飛び交う会議や、泣き出す現場責任者との対話など、感情が激しくぶつかり合う現場に立ち続けた経験もある。」

まさに“日曜劇場”のような現実が日常である。泥臭く、リアルな現場に向き合う覚悟が問われる。

 

■ リヴァンプ×PEファンドが生み出す経営の“本丸”

現在、リヴァンプが手がける案件の6割近くはPEファンドが関与するものだ。特に最近増えているのが、大企業のノンコア事業や子会社をスピンアウトした直後の「カーブアウト案件」。

「ファンドは“経営を変えなければリターンはない”と本気で思っている。財務リストラクチャリングや戦略的な指針だけではなく、現場を動かし、売上を伸ばし、人材を定着させる。その全てが達成されて初めて、企業価値向上という成果が生まれる」

だからこそ、PEファンドにとってリヴァンプは、戦略パートナーではなく“経営の実働部隊”として選ばれる存在だ。単なるアドバイザーではなく、オーナーシップを持って経営に入り込み、売上や利益の責任を背負う。

実際に、リヴァンプ自身が資本参加するケースもある。出資者側に立ち、経営者と一体となって、事業再生や企業変革の中核を担う。そのスタンスは、戦略ファームとは明確に異なる。

「資料をつくって終わりではない。現場に入り、組織を動かし、成果が出るまでコミットする。その覚悟がなければ、経営改革では価値を出せない」 PEファンドとともに、“企業の心臓部”を動かしていく。そのダイナミズムこそ、リヴァンプという集団の真骨頂である。

 

■ グローバルとテクノロジー ──意外と“強い”もう一つの顔

リヴァンプはグローバル展開を支援する案件にも数多く関わっている。東南アジアを中心に、日系企業の海外進出や現地拠点の経営改革など、実際に現場を飛び回る事も少なくない。

「海外出張や多国籍メンバーとの協働も多く、グローバル案件は確実に増えている。」

また、リヴァンプはフューチャーグループの一員であり、約2,500名のエンジニアと連携する“テック集団”でもある。

「現場でSQLを書いたり、AIモデルを作れるメンバーも多い。テクノロジーと経営の融合が、我々の一つの武器になっています。」 

 

■ 若手への期待 ──“考える”から“動かす”への転換点

「ロジックで語ることはできても、現場では“人を動かす力”が求められる」

千田氏は、経営というフィールドに飛び込む覚悟を持ったあらゆる人に期待しているという。業界やバックグラウンドは問わず、経営課題に正面から向き合い、現場で揉まれながら成長する意志があれば、活躍の機会は広がっている。特に若手にとっては、早期に責任と裁量を持って経営に関われる貴重な環境だ。

経営の現場は、机上で仮説を立て、検証していくコンサルティングのプロセスとはまったく異なる。正解がない混沌の中で、人の感情や組織のしがらみ、現場の力学が複雑に絡み合う。数字のロジックだけでは動かない。そこに向き合い、共に汗を流し、信頼を築きながら前に進む。そのプロセスにこそ、「経営を仕事にする」本質がある。

「人を動かす」ということは、単に施策を伝えて行動を促すことではない。現場の人々の立場に入り込み、背景を理解し、時に対話を重ね、時に背中を押す。感情と理性の両方を扱いながら、経営という複雑怪奇な有機体を少しずつ動かしていく。それは極めて人間的で、同時に高度に知的な営みだ。

「経営をキャリアにしたい。そう思うなら、一度“現場に立つ”経験をしてみてほしい。その入口として、リヴァンプは本当にいい場所だと思っています」と語る。

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【編集後記】

インタビューを通して感じたのは、「ロジックでは動かない現実に対して、どこまで本気で責任を担う覚悟があるのか」という経営の本質。──その問いを、千田氏は自らに課しているように見えた。事業を支えるのは数字と人、その両方にリアリティを持つ経営者こそが、これからの時代に求められているのだと痛感した。 経営に、本気で向き合いたいと願うすべての人に。リヴァンプという場の意味を、ぜひ感じ取ってほしい。

最後になりましたが、貴重なお話をお聞かせいただいた千田様に心より御礼申し上げます。